〜掛川駅・・掛川宿・・日坂宿・・日坂峠(661m)・・金谷宿・・金谷駅〜
東海道中で箱根峠と、これから向かう鈴鹿峠に次ぐ第3の難所とされている日坂峠越えである。
峠は険しい坂道が日坂宿側の上り坂と金谷宿側の降り坂が有り、途中は尾根道が続くようだ。
掛川駅前のホテルをスタートしたのが10時頃だった。
新幹線が停車する掛川駅は駅前は整理されて、あちこちにビジネスホテルが観られる街だが、街道は淋しくなったアーケード街を抜けて七曲がりして元の自動車道路に出た。
しばらくの間、県道415号線を行くと日坂宿に入る坂道になる。
大きく曲がった道沿いの小さな宿場に資料館として(川坂屋)が開いていて、説明してくれた。川坂屋は旅籠屋で度重なる大火で立て替えされた建物だった。
「金谷まで行くのかい。これから先は二つの山を越すので3時間は掛かるよ。」
「上に行くと今日は飴を売ってますよ、そこの飴だが、食べてください。」
紅茶色の丸いあめ玉だ。遠い甘さが口に収まった。
軽トラがやっと登れる坂がある様だが、山登り気分でそら出発するぞ。
自動車道路が正面をふさぎ、街道はその下を潜っていよいよ上り坂の始まりになる。
かなり狭いが舗装されている山道がづーと続いている。周りは木が生い茂っていて熊よけの鈴を鳴らし始めた。少し行くと右に登り急曲がり、次は左に登り急曲がりとが続いて、間違いなく急坂だ。
時々登るのを止めて振り向くと落ちそうな道で、足のふくらはぎが痛くなってきた。
この道を軽トラでの登るのはかなりキツいし、すれ違う場所はない。バックで戻るのは無理だろう。
坂が緩くなって、民家が出てきた。標高はおよそ250mだろう。
刈り取りした茶畑だ。茶色の枝だけになった茶畑もある。道は小高い丘の中央を東に進んだ。両側が茶畑でその先は落ちこんでいて、斜面も茶畑になり、向かいの山面にも茶畑だ。
遠く離れた山面に茶の文字に植えられた所があり、電車か車から見えるのだろうな。
30分間ほど茶畑と林が続く尾根筋を進むと、石碑が随所に立つ不思議な場所になった。
芭蕉とか西行法師とかがここを通り詠んだ句が石碑に刻まれている。
(夜泣き石)があった道である。江戸方面から旅人が来た。今日は藤枝宿を出て掛川宿に行くとか。
「扇屋」だ。昔の茶屋がそのまま現存していて薄暗い店にお土産品らしい品物が並べてある。川坂屋でしゃぶった飴が売られていた。(子育て飴)だ。昔懐かしい素朴な甘さが口に広がった。この飴には不思議な話があるとか。
青木坂の急勾配を下ると間の宿で、他の間の宿とは違ってここでは宿泊や食事はないそうだ。
金谷駅まで再び峠越えになるが、再現された石畳の道になり、箱根峠を思い出しながらの登りが続き、峠の頂上は自動車道路で、ここで一休みした喫茶店でチョピリ居眠りをしたらしい。
金谷駅への石畳の降り坂道に(すべらず地蔵)の赤いノボリが両側に並んでいた。
2016/6/5