〜黒磯駅〜鍋掛宿・・越堀宿・・芦野宿(泊)
電車のドアーが開くたびにせっかく温った車内は冷たい空気と入れ替えになった。
宇都宮駅で黒磯行きに乗り換えだ。ここからはドアーはボタンを押すと開閉できる仕組みになり車内は適温が保たれて快適な旅になるはずだったが、乗り込んだ人はドアーを開けたままで急いで暖かな席に座り込むのだ。再び車内は急速に冷たい空気が充満してくる。
試しに「ドアーを閉めるボタンを押してくださいな。」と念じたが失敗続きだ。
幾度かはドア近くの人が閉じるボタンを押してくれたがその人はさっき降りていった。
そうこうしている間に1時間経過して寂しい黒磯駅に到着した。
ここで早めの昼飯にと予定していた駅前の喫茶店へ飛び込んだ。
バスが出るまで1時間あり、ゆっくりとモーニングサービスのトーストを食して、満たされない腹に近くのパン屋でベーコン入りパンとあんパンを仕入れた。
小型バスがやってきた。「奥州街道歩きですか。」と尋ねられ、「私はスキーと登山ですよ。左足を3カ所骨折してますよ。先日美ヶ原に行きましたが、綺麗ですね。」バスが動き出すまで運転手さんの話が続いて「常連さん。」と呼ばれる女子学生が乗車して3人だけで出発した。
常連さんも同じ鍋掛十字路バス停で下車し、ガクガクと音がしたバスは坂を登って行った。
今日は曇り空だ。11月に来た時はバスを待った場所で真っ暗で雨が降っていた。
「あっ、財布を忘れた。」との叫び、連れはすでに高齢化現象なのか、忘れ物をする機会が増えてきて、車の鍵、スマホ、などなどほぼ毎日だ。お金がないと宿賃と明日のランチが払えないぞ。皿洗いか掃除をする覚悟はできて、さあ出発だ。
鍋掛宿は交差点の先だった。ガードレールの代わりか高さが50cmほどの石塔が並んでいる。これなら歩行者は守れるだろうが車は間違いなく大破するだろう。
やがて川を渡り、丘を越えて、また川を渡り、またまた丘だ。余笹川に出た。1998年8月にこの付近は洪水になった。と記録した石碑があり、甚大な被害が出たのだった。
芦野温泉は急坂を登った先にあり、高齢者向きの湯治場だ。今日は団体客はいないようで、たっぷりと温泉を楽しめそうだ。
薬草の匂いが鼻の奥まで染み込んで健康に良さそうなお風呂と、体がツルツルになる水素の湯や露天風呂とハシゴして体の芯まで温まり街道歩きをすっかり忘れてしまった。
夕食だ。人参、キャベツ、キノコなどに豚肉が少々の健康食で、街道歩きのエネルギー補充には不足だった。ちなみに朝食も同じ食材だ。
2015/12/23
芦野温泉の入口の門松か?