〜中三依駅・・上三依・・山王トンネル・・七ヶ岳登山口駅〜
(465m)
中三依から会津田島までの街道歩きは途中の峠に山王トンネルがあり、トンネルの手前に栃木県の看板、
トンネルの中央から福島県になる。
特急電車で来たがすでに10時半だ。目標の七ヶ岳登山口駅までは20kmあり、しかも16時44分発に乗らないと一時間以上の待ちになる。街道は峠の登りくだり、昼飯を食べ、休みを含めて早足なら間に合いそうで、体力に掛け声と気力が頼りでいざ出発だ。
中三依駅の駅前にあった大きなイチョウの木は葉を落として枝に銀杏が残っていた。山の紅葉は終わり、枯れた森は里に降り始めていた。
街道は中三依の集落を過ぎると上り坂になった。潰れかけて誰も住んでいな家屋ばかりだ。屋根が落ちて破れた床から草木が生えている。
深い淵の澄んだ薄水色の流れは岩にぶつかり白く飛び跳ね、周囲の木々から次々と散る枯れ葉は冷たい流れを避けるように風に乗り舞っていた。
上三依の交差点で昼時だ。ソバ屋だ。空いてる席にどうぞと、山菜の小鉢が現れた。どれも美味しくて、ソバが出来る前に食べ尽くした。
山盛りの天ぷらで匂いがついてしまったお腹を抱えて8km先のトンネルを目指す。だらだらと続く登り坂に箱根駅伝の選手はすごいと思いつつ足の筋肉が頑張り始めた。
国道だが山の中。こんな場所に歩く人はいないはずだと、車から不審な眼差しだ。
道路に黒色をした獣がこちらを伺ってる。クマかもしれない。茂みに入り、また道路に現れた。ホーイと大声を出すと姿を消したが、クマさんだったかな?きっとクマさんだ。
車は耳を両手で塞ぐ轟音をトンネル中に響かせて通過し、また静かな一瞬がやって来た。
街道は急な下りになった。電車の到着まであと二時間しかない。急ぎ足は続いた。
山道が終わると真直な道路になり、錯覚か、いくら歩いても正面の景色に変化がない。
バス停だ。電車より10分後に来るようだ。電車に乗り遅れても大丈夫だろう。駅はどこ。犬を連れた老人に声をかけると坂の上を示した。急げ。4分前に着いたぞ。
暗くなっていた。ログハウス風の小さな駅舎だ。ほっかほかの電車の座席にほっとした。
送迎バスで宿に到着、足はパンパンになり階段を登るのは辛いよ。
2017/11/13