甲州街道72景より
(残照石和温泉)中村英一画の一部
〜甲斐大和駅・・勝沼宿・・栗原宿・・石和宿・・甲斐柳町宿・・金手駅〜
甲斐大和駅近くのコンビニに駆け込んで昼飯を調達した。「甲州街道を歩くんですか。」と
ビックリした店員の声と「これから下りなので楽ですよ。」と励ましの声がした。
いよいよ国道20号線に沿ってドンドン下り、坂がなだらかになると、甲府盆地に入るのだ。
大善寺ぶどう寺から国道と別れて右に入り下り坂が続き、ブドウ狩りのノボリが現れた。今は桃が旬だがお店は少ないようだ。
ワイン工場でトイレを借りたいがまだ遠いようだし、近くにコンビニはないし、と探しながら進むと、ブドウ棚の奥にお店を発見し早速飛び込む。ちょうど桃が並んでいた。
数千円の値札を立てた立派な箱にびっしりと、買ってくださいと呼びかけてきた。
車なら運べるがザックには入れきれないし金がない、そこで「一つだけ売ってくれますか。」と声をかけると「いいですよ。洗うから皮を着けたまま食べてください。ここのは堅いですよ。桃は柔らかいと思っている方がいるんですが、あれは2〜3日も経ってしまったものですよ。」と話が続いた。
採りたてはカリカリして、香りが高くて甘い桃を味わえた。
ついでに「ブドウを垣根のように作るのはあるんですか。」と聞くと「だいぶ作り始めたが。昔から棚ですね。垣根作りはワイン用です。実が少ししか出来ないので濃い味が出るんです。」
笛吹川を渡ると石和温泉だ。ホテルの巨大な屋上看板が目立ち始めた。
松並木がある土手沿いを行くと古びた道標に「石和温泉駅」と矢印があったのでそれに従ったが、
駅までの道は旅館街を流れる川に沿ってたまには豪華旅館に泊まりたいなぁ、と思いながら歩き続けた。
この温泉は昭和36年に掘削で噴出して当時は田んぼや畑が露天風呂になったとか。
2015/7/2