東海道の旅

9:でかい富士山


吉原宿・・岳南鉄道線/吉原本町駅

     吉原宿宿場祭り(10月)



沼津駅〜東田子の浦・・新蒲原駅〜


 真っ青な空に真白な富士山だ。ここまで来ると視界全体を塞ぐほどのでかい山になる。

歩道を進むと、家と家との間で富士山の一部がスリット写真のようにその姿を現した。街道の左手にはあの防潮堤が壁のように続いている。

 

 折角の上天気だ。歩道歩きから海が見える防潮堤歩きに代えた。波がキラキラと輝いている。

富士山は直ぐそこにある。

 

  巨大な防潮堤はズーと先まで続いている。車の騒音もないし、平らな道路をひたすら歩くだけだ。

時々サイクリング自転車が通り、散歩している人もいる。海岸線はゴロゴロとした石が並び、打ち寄せたゴミが散乱し、所々に釣り舟屋の小屋がある。

 

 陸側は松林だ。松の苗木を育てている場所や、お墓が並んだ場所もある。防潮堤は眺めは良いがコンクリート道でクッションがなくて足腰を痛めるようですよ。

 

 昔のようにワラジを履いて泥道を行くのが人間には優しいと思う。

向かいから来た散歩中の二人に「この防潮堤は何処までですか。」「富士川の河口までです。」「鉄塔付近から下に下りると(吉原駅)になります。そこを行くと右に曲がる立て札が出てきます。」

詳しく道順を話してくれたが、この先は迷いそうな街道になるらしい。

 

 後ろから来た人にも声をかけた。

「20kmを毎日歩いてますよ。あそこの赤い灯から引き返すんです。歩ける時に四国巡礼を目標に

してます。」日焼けした顔だ。歩調を合わせて話をしたが、こちらは息が弾んで来た。

 「松の枯れたのは台風の波を被ったからで、波は防潮堤を越えてました。津波が来たら諦めだ。

松の苗は10年以上で大きくなるのかな。防潮堤の下は低いし、富士川の氾濫が心配だよ。」

 

 東海道は西に向かう街道なので富士山は通常は右手に見えるが、街道が東に向く場所で

左富士を眺められる。今は工場や家が建ち並びなかなか確認しにくい。

 

 茅ヶ崎で(鳥井戸橋)を渡るときに左富士の頭が少しだけ出ていた。

富士の市街地は港から離れた所でアーケードが完備されているがシャッター通りだ。

 

 ここから先に食事できる所があるか、また心配で横断歩道を渡る手前に引き返しラーメン屋へ。

前から来た女性は街道歩きだった。小さなザックと片手に街道歩きの案内書を持っている。

 

 「今日はどちらまでですか。」と尋ねると「吉原駅までです。この地図では分からない場所があって、

迷いました。」京都から歩いてきたのでは無いようだ。富士川の手前で街道歩き屋を発見した。

風が吹き付ける富士川に出た。あれほど大きかった富士山は雲に隠れたのか見当たらない。

 

 橋を渡ると旧道は坂を上り始めた。

東名高速道路と新幹線が交差する当たりだが、ここで狐につままれた。旧道は右手の丘に添って

進むはずが、わき道にそれてしまい東海道線と並行した道を歩いてしまったが、さてさて?

2016/3/29


次は何処の宿場へ